事件概要ファイル |
【事件報告 No.01】 20XX年4月28日深夜未明、某県無銘市の郊外のアパートにて、滅多刺し殺人事件が発生。 被害者は部屋の住人である 20XX年4月28日深夜未明、隣室の住人から悲鳴と物音がすると無銘警察署が通報を受け、管轄内の交番がこれの要請を受けて駆け付ける。室内に明かりが点っているものの反応が無かったためこれを強行臨検。 午前2時8分、リビングルームにて無道朱音の遺体を発見。 上半身を中心に、体中を刃物のようなもので滅多刺しにされ、仰向けの状態で倒れていた。 午前2時8分、寝室にて無道藍音の遺体を発見。 寝室のベッドに上半身を投げ出すように倒れ、背中や胸などを滅多刺しにされていた。 午前2時10分、子供部屋にて無道 夜散くんは右耳朶を負傷。(後にリビングルームよりピアスがついたままの肉片が発見される) また、無道朝咲は腹部を刃物で刺されたことによる、出血多量の意識不明であった。 発見時、無道夜散は恐慌状態で意識不明の無道朝咲を抱えていた。 午前2時16分、洗面所にて無道 左眼の眼球が潰されており、負傷によるショック状態から意識不明、重体であった。 リビングルーム、寝室は壁や天井にまで返り血があったが、争った形跡は殆ど見られず、また、物色された痕跡は無かった。 発見当時、無道宅は内部から施錠されており、玄関以外の場所からの侵入者の痕跡も見られなかったため、家族内の犯行と思われる。 なお、無道夜散、咲夜、朝咲の三名は病院に緊急搬送されたが、命に別状はないとのこと。 後日病院にて事情聴取が行われる予定である。 なお、無道夫妻殺害と、無道朝咲の腹部の傷は同一の凶器は刃渡り30センチほどの包丁であり、現場より発見されている。 |
【事件報告 No.02】 20XX年4月28日深夜未明におきた無道夫妻殺人事件の凶器の分析について。 夫妻の殺害に用いられた凶器は、日常キッチンで用いられている刃渡り30センチほどの包丁であり、指紋は無道藍音、無道朱音、無道夜散、無道咲夜、無道朝咲の5名のものが付着。 包丁に付着していた血液も、無道朱音、無道藍音、無道夜散、無道咲夜、無道朝咲の5名のものであった。 司法解剖の結果、無道朱音の死因は、包丁で複数刺されたことによる出血性のショック死である。 胸から腹部にかけて32箇所の刺し傷があり、その何れもが20センチ以上の深さとなっていた。 無道藍音には腹部から胸にかけて、更に背中から刺された傷が残っている。 直接の死因は背中から刺された傷が肺を傷つけたことによる窒息死と考えられるが、体の正面、背面に残る刺し傷は47箇所に及び、その半数は生活反応の有無から死後間も無くにつけられたものと考えられる。 病院搬送された無道兄弟について、無道夜散は頭部及び顔面を複数殴打され、ピアスごと耳を千切られていたが、命に別状は無く、また、聴覚にも異常は無し。 発見当時は血液が耳の奥にたまったことにより、三半規管が一時的に麻痺し正常バランスを保つことが出来なかったが、一週間ほどで完治するとのこと。 無道咲夜は左目の眼球を完全に潰されており、失明を免れないとのこと。 出血多量で意識不明となっていたが、命に別状は無い。 無道朝咲は腹部を二箇所刺されており、卵巣と子宮に損傷が出ている。 特に子宮の損傷が酷く、傷が完治しても将来的に妊娠・出産は難しいとのこと。 なお、無道夜散、無道咲夜、無道朝咲の三名は平均的な14歳時の体型・体格に及ばず、また、身体には過去に受けた打撲の痕跡が見られていることから、虐待を受けていた可能性が認められる。 |
【事件報告 No.03】 20XX年4月28日深夜未明におきた無道夫妻殺人事件の事実訂正報告。 住民票及び戸籍の確認から、無道藍音と無道朱音の両者の間に婚姻関係は無く、兄妹関係であることが判明。 兄妹は12年前から犯行現場となったマンションに住んでいたが、当時から共に住んでおり、マンションの住人は二人が夫婦関係であると認識していた模様。 無道朱音に婚歴はないが、無道藍音は15年前に無道 婚姻前の無道藍音、朱音と無道朔の関係は従兄妹に当たる。 なお、事実の混同を避けるため、以後の記述も無道藍音、朱音の関係を夫妻または夫婦とする。 無道夜散、咲夜、朝咲について、出生届けによれば、第一子長男・朝咲、第二子次男・咲夜、第三子長女・夜散となっているが、日常的には第一子長男が夜散、第三子長女が朝咲と呼ばれていた。名前が入れ替わっている理由については不明。 なお、事実の混同を避けるため、以後の記述も第一子長男(本名:朝咲)を無道夜散、第三子長女(本名:夜散)を無道朝咲とする。 ほか、第四子次女・無道 DNA鑑定の結果、3名は無道藍音・朱音の子供と判明。 無道朱音が18歳のときに出産した四つ子のうちの三人であり、二卵性三つ子と鑑定された。 無道朔に出産歴は無いが、戸籍上は無道藍音・朔の子供として無道夜散、咲夜、朝咲の三名が届けられている。 なお、無道朔については犯行日時は入院中の某大学病院で確認されている。 |
【事件報告 No.04】 無道兄妹殺害事件について、状況証拠と物的証拠、科学捜査の観点と、無道咲夜の状況供述により、警察は無道夫妻の子供たちの犯行であると断定した。 夫妻の殺害に使用されたと見られる凶器からは夫妻を除く子供たち三人の指紋が採取され、また夫妻の爪の間からは無道夜散、咲夜、朝咲のものと思われる二種類のDNAが検出され、兄弟妹の爪の間からも無道夫妻及び同胞のDNAが検出された。 犯行時の状況については、無道咲夜のみが事情聴取を受けている。 犯行の動機については未だ不明であり、証拠から推測される殺害方法と無道咲夜の供述には多々矛盾点が浮かび上がっているが、無道夫妻の遺体発見時に負傷していた三名の子供たちは現在入院加療中であり、無道夜散には解離性健忘、無道朝咲は離人性障害・解離性転換障害の症状がみられるとして、現段階での事情聴取は行われていない。 また、事情聴取が行われた無道咲夜についても、精神鑑定の結果、記憶障害・気分変調性障害などの症状が認められているため、その証言や供述の信憑性については疑問点が指摘されている。 しかしながら外部の人間による犯行と認めるには困難な状況であることから、矛盾点は残るものの、無道咲夜の供述を大筋で犯行当時の状況と一致することから、事件解決とし、捜査を打ち切った。 証拠の扱いについて、凶器となった包丁は日常から家族の誰もが使える状況にあり、凶器に残った指紋からは犯人の断定は難しいと考えられる。 関係者の爪の間に残ったDNAは防御創と考えられるが、互いの爪に入っていたことから、犯人特定には至らず、何れも犯人を特定することは難しいとされた。 しかしながら、無道咲夜の供述では夫妻を殺したのは無道夜散と無道咲夜であると認めたことから、警察は裏付けを進め、状況証拠から事件解決に至った。 なお、兄弟妹に見られる精神疾患は、解離性障害(解離性健忘、解離性同一障害、解離性転換障害など)、人格障害(シゾイド人格障害、非社会性人格障害、情緒不安定性人格障害(境界型)など)、睡眠障害、気分変調性障害、共有精神病性障害などがあげられており、これらの障害は無道夫妻殺害の犯行以前からと推測され、犯行当時においても心神錯乱または心神喪失状態であったと考えられる。 また、事件後はPTSDの症状も僅かながらに示しており、病院においては身体面のケアと共に、心理面のケアがなされているとのこと。 また、兄弟妹の精神疾患の原因として、入院先の医師からは夫妻による虐待の可能性が挙げられており、身体には虐待と思われる形跡の報告が確認されたため、正当防衛であるとの見方もされている。 なお、無道咲夜の証言及び無道夜散、咲夜、朝咲は別紙の面接記録を参照のものとする。 |